どーも、奥野です。
人を動かす言葉とは、何でしょうか。
データでしょうか?
ロジックでしょうか?
実績でしょうか?
そのどれも大切ですが、私は「温度」が最も欠かせない要素だと考えています。
そしてその温度を支えているのが「個人の趣味」や「好きなものへの執着」です。
このことを強烈に思い出させてくれたのが、
短編アニメーション、『アニマトリックス/セカンド・ルネッサンス』でした。
●「人間は、感情を持たぬ機械に支配されることを恐れた」
『セカンド・ルネッサンス』は、映画『マトリックス』の前日譚作品。
AIと人類が対立し、戦争になり、やがて支配関係が逆転していく様を、圧倒的な映像と暗喩で描いています。
その物語の根底にあるのは、人間の傲慢です。
「私たちは、“感情のない存在”を理解できない。信頼できない。」
まさに、現代のビジネスにも同じことが言えます。
趣味も興味もない、感情が見えない相手に、私たちは“納得”や“共感”を覚えることができないのです。
●趣味のない営業トークは、“人間味のないAIの演説”だ
ビジネスの現場では、プレゼンの資料、ロジック、実績、ベンチマーク...
あらゆる「正しさ」が積み上げられた提案が飛び交っています。
でも、そういう場面でふと感じることがあります。
「あなたは、本当にこれが“好き”なんですか?」
趣味のない人の話し方は、どこか機械的です。
感情が希薄で、声に力がなく、説得よりも“説明”に終始してしまう。
それは、まるで『セカンド・ルネッサンス』に出てくるAIたちのように、“正しいけれど、響かない”話し方なのです。
●趣味は、“感情を言語化する練習場”だ
趣味というのは、理屈では説明しきれない情熱のかたまりです。
・なぜこのキャラが好きか
・この作家のどこに惹かれるか
・なぜ何度も同じ映画を観るのか
そういった感情を言葉にしていく経験が、
顧客に対して「なぜこれを勧めるのか」を自分の言葉で語る力に繋がっていきます。
趣味を持たない人は、この訓練が圧倒的に足りない。
だから、「心のこもった言葉」が出てこない。
●機械が支配した理由は、“人間が心を失っていたから”かもしれない
『セカンド・ルネッサンス』では、人間たちはAIに仕事を任せ、効率を追い求め、
やがて「自分たちの感情にさえ無関心になっていく」過程が描かれます。
それはまるで、現代のミニマリズム化した働き方や、没個性なビジネスマン像そのものです。
自分の「好き」や「美意識」を失ったとき、人は説得力も影響力もなくしてしまう。
気づかぬうちに、心のない機械と変わらない存在になってしまう。
●お客は、“正しい人”ではなく“語れる人”に心を開く
「これが好きなんです」
「私はこう思うんです」
「誰が何と言おうと、これに惚れ込んでいます」
そんな言葉には、理屈以上の力があります。
そしてそれを支えるのが、趣味=好きで仕方がないものです。
●あなたの趣味は、あなたの“人間性の証明”だ
「仕事ばかりで趣味がない」
「特に熱中してることはない」
それが当たり前のように語られる職場文化もありますが、私はあえて言います。
趣味のない人に、ビジネスは語れない。
なぜなら、その人には“温度”がないからだ。
●あなたが最近、夢中になったものは何ですか?
・誰かに勧めたくなった映画
・つい時間を忘れて読み込んだ漫画
・生活を変えたお気に入りの道具
それが、あなたの説得力の源泉になるかもしれません。