個人事業主が法人化する際に注意すべきポイント|税務署がチェックする「行為計算否認」とは?

個人事業主としてビジネスを拡大していく中で、法人化を検討する方は多いでしょう。

しかし、安易な法人化は税務署から「行為計算否認」と指摘され、多額の追徴課税を課せられるリスクがあります。

今回は、法人化の際に気をつけるべきポイントを解説します。


法人化を検討する理由とは?

個人事業主が法人化を考える主な理由には、以下のようなものがあります。

  • 節税:所得を分散することで、税負担を軽減
  • 社会保険料の削減:国民健康保険から法人の健康保険に切り替えることでコスト削減
  • 事業拡大:法人格を持つことで取引先からの信用が増し、規模拡大が可能


税務署が問題視する危険なスキーム

法人化を進める際に、個人事業と同じ事業内容の法人を設立し、売上を法人に移すという手法を取る方がいます。

例えば、個人で動画制作をしていた人が、法人を設立し、自分の個人事業にコンサルティングを提供する形にするケースです。

このような形で所得を分散させ節税を狙う行為は、税務署から「行為計算否認」と判断される可能性が非常に高いため、注意が必要です。


「行為計算否認」とは?

行為計算否認とは、税務署が「税金逃れを目的とした不自然な取引」を否認し、本来の所得に基づいて課税する制度です。

もし税務署から指摘を受けた場合、以下のようなリスクが発生します。

  • 経費の否認:法人に支払ったコンサルティング料が経費として認められない
  • 売上の否認:法人の売上がなかったものとみなされる
  • 追徴課税:本来の税額に加えて延滞税や重加算税が課せられる
  • 脱税リスク:悪質と判断されると脱税とみなされる可能性もある


法人化を成功させるためのポイント

税務署の指摘を受けないために、法人化の際には以下の点に注意しましょう。

  • 法人で別の事業を行う:個人事業と完全に同じ内容ではなく、法人独自の事業を持つ
  • 複数の顧客を持つ:法人の売上を特定の個人事業に依存させない
  • 社員を雇う:法人が実態のあるビジネスを行っていることを示す
  • 個人と法人の管理を明確に分ける:口座、契約、帳簿を分離して管理する


まとめ

法人化は、正しく行えば節税や事業拡大に効果的ですが、安易な設立は税務署から「行為計算否認」と判断され、思わぬ負担を抱える可能性があります。

法人化を検討する際は、税理士などの専門家に相談し、適切な方法で進めることが重要です。

この記事が法人化を検討する方の参考になれば幸いです。